もくじ
コンクール出場をお考えの方へ
バイオリンをすでに習っておられる方や、これからお子さんにバイオリンを習わせたいとお考えの親御さんから、こんなお悩みの声を耳にすることがあります。
- 今の教室がゆったりした教室なので、もっとレベルの高いコンクールの入賞を目指す子がいるような教室で教わりたい
- プロになるわけじゃなくても、子どもの成長を信じて一生懸命育ててくれる教室を探している
- 受験でバイオリンを辞めるまでに、ある程度、きっちりと最低限のレベルをつけさせてくれる教室に行きたい
- 今までは、子どもに合わせたレッスンで褒めてもらえるのが楽しかったけれど、挑戦する「楽しさ」を感じるようになってきた、だから挑戦できる教室に通いたい or コンクールに挑戦したい
- より高いレベルを習得するうえでは、コンクールなどに出場もしたほうがいいんじゃないか? etc
いずれの方たちも、高い技術を身につけたいとお考えで、そのためにコンクールに出場したほうがいいとお考えのようです。
当スクールのコンクールについての考え方
私たちは、目標を持つことがバイオリンの上達を促してくれると考えております。
そこで、目標をしっかり持ちながら練習する一環としてコンクール出場を推奨しております。
コンクールに出場することは、さまざまなメリットをもたらしてくれます。
まず、実力を客観的に把握しやすくなります。
コンクールでは、課題曲が定められていることが多いため、出場者全員が同じ曲を演奏することがあります。
自分と他の人との演奏の違いを知ることで、自分の技術的な立ち位置を把握することができるんですね。
生徒たちの中には、普段のレッスンで私たち(講師)のアドバイスが頭には入っているんだけど、まだはっきりと明確には理解できていない場合があります。
しかしそれが、コンクールで他の出場者の演奏を聴くことで深く理解できることもあります(他の人の演奏を聴くことも、バイオリン上達には大切です)。
また、コンクールでは自分の演奏に点数がつくことになります。
その際、他教室の生徒の点数もわかります。
コンクールは、外の世界への入り口
さらには、コンクールに出場すると他の出場者が上手に聴こえてきたり、不安になることがあります。
ちなみに、テンポが早いと上手に聴こえてくるんですね(もちろん、その曲に合った最適なテンポで弾くことが大切です)。
ただ、テンポが早いとごまかして弾いている場合もあったりします(審査員は、ちゃんと気づいています)。
けれど、本人としては出場する緊張や不安などもあって、そういうことにはあまり気がつきません。
そしてコンクールでは、普段、習っていない審査員の先生からも評価してもらえることもあり、それは生徒にとっては大きな自信になるようです。
こうして、だんだんと外の世界を知って行くんですね。
外の世界を理解しはじめ、自分の力量がわかるにつれて、生徒たちはより真剣になります。
その結果、より一層高いモチベーションで練習をするようになり、高い技術が身につく傾向があります。
大変じゃないかな?
ただし、コンクールに出場するうえでは、大変な面もあります。
とりわけ、はじめて出場するときなどには不安だったり、つらい?、修行?、耐えられるかな?、つづくかな?といった気持ちにもなるものです。
もちろん、コンクールに出場するうえで必要なスキルを身につけることはラクではないでしょう。
私たち自身もコンクールに出場してきましたので、その大変さは身をもって理解しております。
だからこそ、私たちは指導者として大変なことを理解したうえで、だけど生徒が大変だと感じないレッスンを提供したいと考えております。
「気づいたら、私がんばれてた!」と思えるように生徒を導いてあげたいと思っております。
ちなみに最近、生徒たちがお家で練習したことをLINEのスタンプや動画で伝えてきてくれることがあるんですね。
そのときに、私たちも「よくがんばったね」と返信するのですが、そのちょっとしたことが生徒たちにとっては練習後の“ご褒美”のようなんです。
このように、私たちは生徒の小さな成長を見逃すことなく、ちょっとした変化をたくさん褒めてあげるよう心がけております。
そして、目先のできる・できないだけでなく、長い目で見たときにはいい成長だと思えることを、しっかりと認めて伝えてあげたいと思っております。
そうしたレッスンによって、生徒たちの音はどんどん変わります。
そして、できることが増えることでどんどん楽しくなります。
いい演奏とは?
コンクールにかぎらないのですが「いい演奏」とは、聴いてくれるお客さんや(コンクールであれば)審査員の方たちを音楽の世界に引っ張って行くものだと、私たちは考えています。
そして、いい演奏をしているときには自分が奏でる世界において、自分と聴いてくれる人が一体になるという感覚があるんですね。
そのために大切なことは、曲のことに対する理解を深めることです。
例えば、コンクールの課題曲であれば、その曲ができたころの時代背景だったり、何の曲なのか(行進曲?舞曲?歌?)、といったことを理解したうえで演奏すると聴いてくれる人と一体になりやすいんですね。
そこで、当スクールではこんな取り組みをしています。
例えば“舞曲”が課題曲だったときには、生徒の手を取って一緒に踊ってみたりして「ダンスの一歩目ってこうなんだよ」なんて説明もしながら、舞曲がどういったものなのか?というリアリティを感じてもらっています。
しかも、その曲ができた時代のドレスは現代のものより重いので、それも理解したうえで“踊れるテンポ”で弾かないといけません。
ちなみに、私(敦仁先生)は、過去にバレエの伴奏をしていたことがあります。
演奏しながら、バレリーナがどんな動きをしているのか?を見てきました。
すると、踊りの種類や服装によって動きも変わりますし、その変化に演奏を合わせないとバレリーナが踊れないんですね。
だから、演奏が踊りとマッチすることを、つねに意識しながら演奏をしていました。
音でメッセージを届ける
同じ課題曲でも、弾き手によって演奏が違って聴こえてくるのはこうしたことが理由です。
曲の背景についての理解、フレーズ感、息継ぎ感、演奏を通じて伝えたいメッセージがひとりひとり異なるんですね。
それに対して、自動演奏するマシンが正確にメロディを奏でたとしても、それは抑揚がなかったりメッセージ性がありません。
こういう音は、聴いていてもどこか心地よくないというか楽しくないというか、音楽にならないんですね。
つまり、普段、私たちは自分の気持ちなどを言葉で伝えていますが、それをバイオリンを通じて音で伝えることができるんです。
そのような観点からも、他者の演奏を聴くことがバイオリン上達には大切です。
他者の演奏を聴くことで、いい演奏・悪い演奏を体感できます。
ですのでレッスンでは、ときどき私たちが生徒の演奏をマネすることがあります。
「今、こういう風に弾いてたよ」
すると、生徒たちは笑ったりするんですね。
「でもそう弾いてたよ、笑うでしょ、だからそう弾いちゃダメだよ」
こうして、体感を伴う理解によって弾き手と聴き手が一体となる演奏をめざしています。
コンクールのための練習はしていません
コンクール1〜2ヶ月前ぐらいからは、課題曲を作り上げる作業をしなければいけません。
けれども、逆の見方をすれば1年間のレッスンにおいて残りの10ヶ月で基礎力をたくわることが、バイオリン上達においてはとても大切です。
ですので、当スクールでは日々の練習曲が上手に弾けることに力を入れています。
「この曲は、◯◯を習得するための練習曲なんだよ」というのをきちんと説明し、その曲を弾きながら、実践で上達することをめざしてレッスンを行なっています。
そして、練習曲を通じて基礎をしっかりと身につけてもらうことを重視しています。
ちなみに、当教室が考える「バイオリンの基礎」とは、つぎの3つが正しくできている状態です。
- 立ち方および姿勢
- 左手:バイオリンの持ち方、指の形
- 右手:弓の弾き方、圧力のかけ方
基礎というのは一番大切で、それでいて一番難しいものだと私たちは考えています。
だからこそ、継続的な実践によって基礎をしっかりと身につけてもらいたいと考えています。
そして、基礎が身につくほどに演奏する音が着実に変わってきます。
さらには、基礎力のある生徒のほうが伸びますし、成果に結びつく傾向があります。
ですので、派手なことを求めず、基礎力の向上ができるように生徒および親御さんにも理解していただきながら日々、生徒たちと向き合っています。
そのようなレッスンが奏功し、生徒たちはコンクールで優秀な成績を修めてくれています。
こうした成果を受けて、藤松バイオリン教室ではこれからも基礎を大切にしながら、生徒たちの可能性を大きく伸ばせるようコンクールにもチャレンジして行きたいと思っております。
最後まで、ご覧くださいまして感謝いたします。